病院物流の重要性

病院で医療の質を落とさずにコスト削減の可能性があるのは、医薬品・医療材料の購入額の適正化。
病院物流にメスを入れることで、過剰在庫や死蔵在庫を減らすことにつながりますし、取引メーカーの絞込や価格交渉にも利用できます。

マスク問題で身に染みた方も多いと思いますが、使いたいときに物品がないという状態が起こることで、医療はストップし、医薬品がなければ医療の質も落ちます。
購入と補充を見える化することで、いつでも品質の高い医療を提供することが可能となります。
病院で医療の質を落とさずにコスト削減の可能性があるのは、医薬品・医療材料の購入額の適正化。
病院物流にメスを入れることで、過剰在庫や死蔵在庫を減らすことにつながりますし、取引メーカーの絞込や価格交渉にも利用できます。
マスク問題で身に染みた方も多いと思いますが、使いたいときに物品がないという状態が起こることで、医療はストップし、医薬品がなければ医療の質も落ちます。
購入と補充を見える化することで、いつでも品質の高い医療を提供することが可能となります。
2021年6月14日時点のGoogle検索にて「医療材料 管理システム」「医薬品 管理システム」「臨床検査薬 管理システム」で上位に表示される10社をピックアップしています。
※重複している会社があるため、紹介している会社は21社となります。
リセット
「管理したい物品」を選択してください
定量発注、複数定数レベル設定、使用量自動計算発注、予約発注など複数の発注方式に対応し業務をサポートします。
購入から保管、使用までを一元管理。使用期限を把握できるため在庫ロスを防ぎ、適正な在庫管理が可能です。
在庫管理が徹底され発注業務が簡便化するため、労働力の適正配分や廃棄減少によりコスト削減が実現します。
県立9病院が共同で業務の標準化を目的として導入が進みました。導入後は検査薬の納品作業負担が軽減。検収書の二次元コードを読み取るだけで一括入荷が完了するので、作業時間が短縮し技師が本来業務に集中できるようになりました。
社名 | 株式会社メディアス |
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所在地 | 石川県金沢市鞍月5-181 AUBEビル 6階 |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 076-255-1827 |
分析機能で購入比率の高い医療材料の特定が可能。購入単価を比較・検討し発注時の価格交渉に活用できます。
購買業務と院内での物流業務をリアルタイムに一元管理。在庫状況を一目で確認でき過剰在庫削減につなげます。
医薬品も含め医療材料費を適正化するコスト分析機能を強化。ABC分析や医材単価ベンチマークが可能です。
該当情報が見つかりませんでした。
社名 | 富士通株式会社 |
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所在地 | 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター |
営業時間 | 9:00~17:30 |
電話番号 | 0120-835-554 |
消費状況と発注点を明確にグラフ表示し、自動発注を設定する目安を実績データに基づいて判断が可能です。
各部署の物品を区分別に確認でき、極端に古いラベルは滞留在庫として在庫移動が可能なので在庫適正化します。
仕入から消費まで物流の一元管理によりコスト削減を実現。また在庫マスタ以外の発生コストも管理可能です。
該当情報が見つかりませんでした。
社名 | 株式会社ホスピタルパートナーズ |
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所在地 | 東京都新宿区左門町20 四谷メディカルビル 6階 |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 03-5369-6611 |
ハンディーターミナル活用やSPDカード利用など、運用・業務に合わせた発注・払出システムを構築できます。
医療業界で培ったノウハウをもとにした運用提案により、物品供給の円滑化や在庫適正化を実現します。
充実した統計機能で経営分析をサポート。連携性にも優れており複数施設統合によるコスト削減が可能です。
以前は在庫管理をエクセルで行っていたので専任担当者が一人で発注から入庫、払出、在庫管理までやらなければならず大変でした。ZERO Supplyを導入後は大幅な業務削減ができ、在庫切れも無くなりました。
社名 | ゼロシステム株式会社 |
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所在地 | 熊本県熊本市中央区水前寺6-23-12 |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 096-243-3511 |
払出情報=消費データではなくラベルを活用し消費データを正確に取得することで日々の適正な発注数を把握します。
医薬品などの詳細データをリアルタイムに一元管理。いつ、どこで、誰が消費したかわかり在庫が適正化されます。
※RFIDは導入予定。
他システムと連携させることで業務が効率化しコストも削減。また導入コストを下げるクラウド型もあります。
物品の単品管理はすでにバーコード付きシールで運用していましたが、さらなる業務負担軽減が課題。これをRFIDを活用したMedicalStreamに変更したところ、物流センターの回収バーコード読取作業がなくなりました。
社名 | 株式会社サン・システム |
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所在地 | 新潟県長岡市関東町5-5 長岡ファーストビル |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 025-839-0311 |
定数・定量の設定で発注量の自動計算を行い、発注はEOSやオンラインFAXなどで環境に応じて送信されます。
デッドストック照会が可能で, 仕入や払出の停滞期間など移動実績から設定調整を行うことで在庫圧縮ができます。
ハンディターミナルの使用で棚卸作業が簡単。正確でスピーディーにでき、業務負担の軽減はコスト削減にもなります。
該当情報が見つかりませんでした。
社名 | 株式会社プロゼ |
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所在地 | 長崎県長崎市坂本1-4-3 山王ビル301 |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 095848-9778 |
パソコンを使用してFAXや電子メールで取引先へバーコード注文書を送付。煩雑な発注入荷処理が簡便化します。
GS1-128利用でロット番号、使用期限を管理。トレーサビリティも可能なので過剰な在庫を削減できます。
入札時の金額合わせは一括データ処理可能。定数の材料セット設定も可能で、診療部門のコスト削減にもつなげます。
該当情報が見つかりませんでした。
社名 | 鴻池メディカル株式会社 |
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所在地 | 東京都千代田区有楽町1-6-4千代田ビル4階 |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 03-3580-3860 |
定数管理を行うことで自動で発注書を作成。それを入荷管理機能につなげ、入荷検品まで行うことができます。
未入荷品の検索やロットトレース照会でいつ入荷しいつ使用したかをリストアップし、適正在庫数を維持します。
ハンディターミナルで棚卸を実施。スピーディーな在庫棚卸により滅菌期限切れを把握しコスト増加を抑えます。
該当情報が見つかりませんでした。
社名 | ソルブ株式会社 |
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所在地 | 神奈川県横浜市中区根岸町3-216 |
営業時間 | 8:45~17:00 |
電話番号 | 045-476-3000 |
救急にも対応できる詳細な定数管理機能で消費実績から適正定数を自動算出するため、誤発注を防止します。
GS1-128に対応し、入庫から消費まできめ細やかなトレーサビリティ管理により適正在庫数を維持できます。
医療材料の購入価格と市場価格を比較できるベンチマーク機能や同種同効品分析機能で、医療材料を適正価格で調達可能です。
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社名 | アルフレッサ メディカルサービス株式会社 |
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所在地 | 東京都千代田区九段南2-3-14 靖国九段南ビル9階 |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 03-6843-2330 |
卸業者への発注作業は公衆回線を使ったVANセンター経由で行われ、迅速に納品・入庫検収の作業に移れます。
ハンディターミナル活用で在庫切れ確認がスピーディー。発注や払出メンテがしやすく適正在庫が維持できます。
スタンドアローンタイプとネットワークタイプが選べ複数部門でのデータ共有による管理コスト削減が実現します。
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社名 | 東邦薬品株式会社 |
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所在地 | 東京都世田谷区代沢5-2-1 |
営業時間 | 平日9:00~17:00(年末年始を除く) |
電話番号 | 03-5486-1200 |
発注データの自動FAX機能などが搭載されているため購買管理業務の負担が軽減。物品供給が迅速化されます。
バーコードラベルによる管理が徹底され、在庫変動の把握により院内の過剰在庫やデットストックが削減されます。
使用(消費)情報を保険請求と発注情報に利用し、効率の良い在庫管理ができるのでコスト管理も容易になります。
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社名 | 株式会社麻生情報システム |
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所在地 | 福岡県福岡市早良区百道浜2-4-27 |
営業時間 | 9:00~18:00(土曜・日曜・祝日・当社指定の休業日を除く) |
電話番号 | 094-826-5082 |
発注データは自動生成。発注点方式か発注定数方式を選べば適正数量を自動算出するため、発注ミスを防ぎます。
出庫先や藥品指定で在庫を各出庫先へ払い出しして管理したり、他システムと連携し一括出庫処理が可能です。
購入単価や薬価は履歴管理されており、旧価格との比較が可能。医薬品の値引き(遡り業務)に活用できます。
以前は医薬品の発注・出庫等を手作業で行っていて時間がかかっていましたが、システム導入後はーダーリングシステムとの連携やハンディターミナル活用で業務が効率化。一括処理が可能となり作業時間が短縮できました。
社名 | 株式会社電算 |
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所在地 | 長野県長野市鶴賀七瀬中町276-6 |
営業時間 | 8:30~17:20 |
電話番号 | 026-225-8888 |
オンライン発注に対応で、電話発注分も医薬品卸業者が送信した納品データを受信するだけで入荷処理可能です。
ロット・有効期限付き納品データから入庫。出庫時にバーコード読込でトレーサビリティに対応し在庫を最適化します。
クラウド型システムなので運用コストが少なく、システム導入による業務効率化で管理コストも削減されます。
該当情報が見つかりませんでした。
社名 | 鍋林株式会社 |
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所在地 | 長野県松本市中央3-2-27 |
営業時間 | 8:30~17:15(平日) |
電話番号 | 0263-27-6545 |
VAN発注機能を搭載。連携した各種オーダー情報や実施情報をもとに医薬品消費を自動計算し発注に利用します。
藥品数量をハンディターミナルで取込み、オーダー情報から在庫の払い出しをしたり、返品などの在庫調整もできます。
院内の各種オーダリングシステムと連携でき各部門をつなぐ役割を持っているため、業務負担・コスト削減が可能です。
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社名 | 株式会社エヌデーデー |
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所在地 | 東京都中野区本町2-46-2 中野坂上セントラルビル 3F/4F |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 03-5371-8511 |
インターネット回線を使ったオンライン発注に対応。価格見積りの差益予測機能や値引き機で価格交渉しやすいです。
有効期限やロット記号番号の管理に対応でき、トレーサビリティが確保できるため、無駄な在庫を無くせます。
同じ薬品に複数のGTINコードが登録でき変更時も影響なし。過去実績を一括集計でき管理コスト削減になります。
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社名 | ICソリューションズ株式会社 |
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所在地 | 愛知県名古屋市東区東桜1-3-1(SATOビル) |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 052-962-5221 |
発注入出庫管理では出庫実績からABC分析を行った上で品目毎に発注点を自動計算。発注書まで作成します。
情報量が多いGS1-128に対応。ロット・有効期限情報を取り込むことで過剰在庫を正確に把握し対処できます。
検査室の消耗品管理や棚卸作業がシステム化。結果として廃棄や余剰在庫が無くなりコスト削減につながります。
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社名 | 株式会社エイアンドティー |
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所在地 | 神奈川県横浜市神奈川区金港町2-6 横浜プラザビル |
営業時間 | 9:00~17:35 |
電話番号 | 045-440-5810 |
品目別に発注点を設定すると、在庫状況に応じた発注数が自動算出されるので発注ミスの防止効果があります。
入・出庫時にロット番号や有効期限を記録でき、ロットごとの流れを追跡できるため無駄な在庫を抱えずに済みます。
入札機能があり、応札結果や現行単価の比較分析が可能で、業者と落札価格は契約開始日から自動適用になります。
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社名 | 株式会社ジェイ・エス・エス |
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所在地 | 石川県金沢市示野中町2-115 |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 076-255-1827 |
MEDICODE-Webを活用し、インターネットで発注データを取引する医薬品卸へ一括送信することができます。
日々の出納業務の記録支援機能を搭載し、発注、入庫、出庫、棚卸を効率よくバーコードリーダーで管理します。
医療機関の1次部門管理だけでなく病棟・診療科など2次部門まで管理範囲を拡大すれば管理コスト削減になります。
該当情報が見つかりませんでした。
社名 | 中央システムサービス株式会社 |
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所在地 | 大阪府大阪市西区新町2-4-2 なにわ筋SIAビル5階 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
電話番号 | 06-6538-0681 |
オーダリングシステムより受信したオーダー情報・実施情報から医薬品の消費を計算し、発注予定リストの発行などVAN発注に利用できます。
発注、入庫、払出、返品、破損、請求、棚卸、在庫調整など各種在庫移動に関する業務をサポートします。
医療機関の1次部門管理だけでなく病棟・診療科など2次部門まで管理範囲を拡大すれば管理コスト削減になります。
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社名 | 株式会社エヌデーデー |
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所在地 | 東京都中野区本町2-46-2 中野坂上セントラルビル 3F(受付) / 4F |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 03-5371-8511 |
患者の来院日や処方医師の傾向をデータ分析し、需要・消費予測を行うことにより発注のムダをなくします。
近隣薬局との貸借や売買管理を行うことにより、より正確な在庫管理が可能になります。
中小零細規模向けのシステムなので、スタンダードプランが無料で利用できるなど導入障壁の低いシステムです。
該当情報が見つかりませんでした。
社名 | 株式会社9lione |
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所在地 | 東京都渋谷区恵比寿南3-5-7 DGビル2F OpenNetworkSpace |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 03-6820-0782 |
調剤薬局とドラッグストアを柱に事業展開をする中で、新規出店やM&Aに伴う手作業での効率化を目指していました。導入後は店舗側の業務システムを一本化でき、業務の削減ができました。さらに月間平均在庫金額約20%減、年間廃棄金額約25%減となりました。
社名 | SCSK株式会社 |
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所在地 | 東京都江東区豊洲3-2-20 豊洲フロント(豊洲本社) |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 03-5166-2500 |
都心部にある木村薬局では、患者が多く服薬指導にもっと時間をかけたいと思っていました。P-CUBE nの導入によって、薬歴作成の効率が上がり、患者とのコミュニケーションに時間を割くことができるようになりました。
社名 | 株式会社ユニケソフトウェアリサーチ |
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所在地 | 東京都港区芝大門2–5–5 住友芝大門ビル7階(本社) |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 03-6747-0033 |
徳洲会グループの病院で導入されています。四街道徳洲病院では、MEDITISを使用していましたが、発注システムとは別にExcelで物品管理の帳簿を作成していました。そこで棚卸まで一元管理ができるZAITISを導入することに。MEDITISを元に病院の使い方に合わせて開発されたので、病院職員が使いやすいシステムになり、業務の効率化が実現しました。
社名 | 徳洲会インフォメーションシステム株式会社 |
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所在地 | 大阪府大阪市北区梅田1丁目3番1-800号 大阪駅前第1ビル8階 |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 06-6346-2821 |
該当情報が見つかりませんでした
社名 | 株式会社 沖縄メディコ |
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所在地 | 沖縄県浦添市勢理客三丁目3番11号 |
営業時間 | 要問合せ |
電話番号 | 098-876-5280 |
2022年中には、不動在庫を自動的検知して医薬品売却の簡易見積をする「らくトク売却」機能が追加される予定です。
Musubiを使用するための電話サポートや技術サポート、アップデート、ユーザー追加などを無料で利用できます。
高いレベルでの服薬指導の標準化ができるだけでなく、トレーシングレポートの実施状況を見える化できたり、採用における応募者へのアピールになったりと、さまざまなメリットを感じています。
社名 | 株式会社カケハシ |
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所在地 | 東京都中央区築地4丁目1-17 銀座大野ビル9F |
営業時間 | 10:00~18:00(平日) |
電話番号 | 03-4405-1215 |
「GS1-128」という特殊なバーコードを使用して、どのユーザーにどのロットを使用したのかを厳重に管理する「ロット指定機能」を搭載しています。
クラウドトーマスPro For medicalの導入事例は見つかりませんでしたが、医療業界特化型のシステムをリリースする前の導入実績は多数。さまざまな業界で、ピッキング作業の効率化や出荷ミスの低減、在庫量・在庫スペースの削減などを実現しています。
社名 | 株式会社関通 |
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所在地 | 大阪府東大阪市長田東3丁目3番32号 東洋交易ビル4F |
営業時間 | 平日9時~18時 |
電話番号 | 0800-555-0500 |
病院物流における押さえておきたい基礎知識をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
SPD業務は、病院内で使用する物品の在庫管理や院内搬送を行なう仕事です。物品の供給と管理を一元化し、業務の効率化を図る役目を担っています。また、SPD業務には、使用期限の管理や発注数の調整などといった、病院経営に関わる仕事も含まれます。
SPD業務の内容は、主に「物品物流管理」「購買管理」「その他」の3つ。物品物流管理に含まれる業務は、在庫管理をはじめ、供給管理や搬送管理、補充管理、品質管理、期限管理など。購買管理では、受発注や購買価格の管理を行います。購買価格の管理とは、価格分析や購買交渉、商品の切り換え提案などのこと。その他にも、こなさなければならない業務は、消費データ管理や保険請求漏れ確認、医薬品・診療材料の供給、物品発注や納品、病棟の各伝票管理と点滴運搬など、多岐にわたります。
たくさんの医療材料や医薬品などを取り扱う病院では、医療材料費などの購入費をはじめ、過剰在庫や消費期限切れの不良在庫、在庫切れなどが課題になっています。SPD業務をいかに適切に行なうかで病院経営の健全化や医療の質に左右するため、責任の大きな仕事です。ただし、それぞれの部署で在庫を管理する方法だと過剰な品目や必要以上の数量を抱えやすく、物品管理者の負担が大きいという問題点もあります。
SPDとは、「Supply, Processing and Distribution」の略称で、病院で使用される医療材料や医薬品などといった、医療消耗品の供給・在庫・加工などの物流を一元管理するシステムのこと。SPDでクリニック全体の医療消耗品を一元管理することで、必要なものを必要なときにだけ発注でき、過剰在庫や期限切れ製品の防止につながります。
SPD業務で管理するものには、医薬品や医療器具はもちろん、医療現場で使用される文房具なども含まれます。こまごまとした品目の管理や調達などを必要としていたものが、ITシステムのSPDを利用することで調達・使用・消費・補充といった一連の物流を管理することが可能に。そのため、SPDは医療材料の管理の最適化に有効な方法と言えるでしょう。
これまでの物品管理では、各部門の職員が定期的に物品の在庫を確認する必要がありました。物品の管理に人員を割かれてしまうのは、人手不足が深刻化している病院において避けたい問題といえます。SPDなら人力での作業をシステムで管理できるようになるため、業務負荷の低減につなげられるでしょう。また、本来の医療業務に注力できることで、質の高い医療の提供が可能となります。
これまでの人力頼りの在庫管理では、在庫数をはじめ、ロットや有効期限などの確認にかなりの手間がかかっていました。SPD(院内物流管理システム)を導入することで、バーコードと読み取り機器のハンディターミナルにより、在庫管理にかかっていた手間を大幅に削減することが可能。また、有効期限の情報の管理も楽になるため、期限切れによる廃棄を未然に防ぐことができます。
預託型のSPD(院内物流管理システム)を導入した場合、在庫の管理を業者に一任できます。消費した分だけを補充することができ、必要最低限の在庫で抑えられるのは購入費や在庫スペースの面でも大きなメリットと言えるでしょう。また、発注漏れも防げるので、欠品の発生も抑えられます。そのほかにも、データを一元管理することで各部門や病棟での消費傾向も把握でき、需要の少ない医療消耗品の補充頻度を減らすといった対策も可能。委託費用はかかりますが、現状に合った病院物流の実現を叶えられるのは魅力的なメリットです。
SPD(院内物流管理システム)はレセプトシステムと連携させることもでき、SPD上の患者別使用情報とレセプトシステムの診療報酬情報を照らし合わせることで、医療保険の請求漏れを防げます。また、保険請求ラベルを処方箋に貼り付ける方法を取れば医事課との情報共有もスムーズに行なえ、保険請求業務の最適化を図れるでしょう。
SPD業務は、医療の質や安全性、病院経営における経済性・採算性といった事業性を高める役割を担っています。また、SPD業務により必要な医療材料を適切なタイミングで供給できる体制を整えられ、患者さんへの質の高い医療の提供や医療ミスの未然防止を目指すことが可能。そのほかにも不要なものがないかを精査することで購入費を削減でき、病院経営の健全化にも一役買える仕事です。
医師や看護師のように表立って目立つ仕事ではありませんが、SPD業務がなければ病院経営がうまくまわらず、医療の質も落ちてしまいます。そのため、裏方にまわって人をサポートするのが好きな方や医療現場に貢献したい方にとっては、やりがいの大きな仕事と言えるでしょう。
独立行政法人福祉医療機構が発表した「2020 年度(令和2年度) 病院における医薬品・医療材料・医療消耗器具備品の購入に関するアンケート結果」によれば、半数以上の病院が医薬品・医療材料費の増加を感じているとのこと。病院運営に必要な利益を確保するためには病院物流の適正管理・購入額の低減が必須となっており、SPD業務の重要性は今後ますます高まっていくことでしょう。
病院で扱う医薬品・医療材料は数千~数万点にも及ぶため、質の高い医療や経営の安定化のために物流管理が重要になってきます。病院物流管理の運用方式としてはさまざまなパターンがありますが、大きく分けると自院で物流管理する、もしくは外部業者に委託するかの2つ。病院職員の負担や委託費などの課題もあるため、自院の状況や予算に応じて慎重に検討しましょう。
SPD業務を運用する方法として、SPDシステムを導入して自院で運用するか外部へ委託するか、物流管理だけを外部委託するかの3つがあります。安定した運用を行うには、どちらを選ぶべきなのでしょうか。SPDシステムを自院運用する場合と外部委託それぞれの利点や注意すべきポイントをまとめました。
医療材料や医薬品が多品種化している昨今、自院での運用では管理が追いつかないために、SPD業務を外部委託する病院が増えてきています。ここでは、SPD業務を外部委託する際の在庫管理方法や預託方式、消費委託補充で起こり得る課題や注意点を解説しています。
医療材料の価格削減を図るには「同種同効品の集約」「競合メーカーへの切り替え」「共同購入」など複数の方法が挙げられます。ここでは、これらの医材の価格削減の方法について詳しく解説しています。
IT導入補助金は、様々な業種・業態において業務の効率化や事業の拡大などを目指してITツールを導入しようとする際に受けられる補助金です。医療機関でもIT導入補助金を活用する際のポイントについて解説しています。
DX化とはAIやIoTといったデジタル技術や関連ツールを活用することで、事業の効率性や業務の生産性などを向上させ、従来の手法とは異なる新しい事業性を追求していく取り組みです。医療業界のDX化について解説します。
医薬品の流通工程が適正に行われるために策定されたガイドラインです。高水準の品質・完全性を保証すること、偽造医薬品の混入を未然に防ぐことが主な目的です。
製造された医薬品一つひとつが「問題ない」ものであると断言できるかどうか保証することを、バリデーションといいます。出荷試験だけでは医薬品の品質を充分に保証することができないため、バリデーションが必要です。目的に応じて予測的バリデーション・同時的バリデーション・回顧的バリデーションの3つを使い分けます。
安定性試験とは、医薬品を一定の条件下で保管し、品質に変化がないかを調べて保管方法や有効期間を決めること。医薬品の製造時に行われます。一方、安定性モニタリングとは、医薬品が市販された後も変わらず品質が維持されているかを調べる試験です。
クオリフィケーション(適格性評価)とは、医薬品製造における機器や補助システムが正しく配置され、正確に動作しているかを検証し文書化することです。医薬品製造の一連のプロセスを評価するバリデーションの一部で、一貫した品質保持のために行われます。
医薬品等の製造販売を行う製造販売業者は、使用する人の安全を守るため、規定のルールに則って製造を行わなくてはなりません。ここでは、薬機法で定められているGQP省令について、概要や目的、許可要件について解説しています。
RFIDタグとは、電波を使ってデータを読み取る技術。バーコードとは異なり、離れたところから物を識別したり管理したりできるようになります。ここでは、RFIDタグの仕組みや種類、医療業界での活用法を解説しています。
医療業界で利用される「GS1」は医薬品などの識別に活用されているバーコードの規格であり、世界各国で利用されています。日本でも医薬品や医療機器の識別・管理に使われるGS1標準バーコードについてまとめました。
医薬品や医療機器を製造するとき、原材料から流通段階までのプロセスで適切な滅菌処理が施されているか、また、製造プロセスの過程で微生物が持ち込まれていないかを保証する「滅菌バリデーション」が求められます。
資源の有効活用や廃棄物の削減、医療費の低減の可能性から、単回使用医療機器を再使用できるようにしようという動きが各国で進められています。ここでは、R-SUDの考え方や対象となる医療機器、現段階におけるR-SUDの製造フローをまとめました。
人の健康に関わる医療機器の管理は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」で細かく規定されています。扱う製品によって必要な許可や管理方法が異なるため、法律の正しい理解が重要です。
医療機器の輸入に関しても薬機法に基づいた、品質・安全性を担保できる対応が求められます。輸入に必要な手続きは製造販売業の許可、製造業の登録、製造販売承認の申請の3つ。それぞれ機器の種類によって注意点や対応が異なります。
医師が処方箋を発行し、薬剤者が薬を調合する分業体制で医薬品を提供する「医薬分業」。近年、医薬分業を導入している病院は増えており、2020年には処方箋発行枚数が8億枚を超えています。主な目的は患者へのより安全性の高い薬の処方。ただ病院側も薬の管理コストを軽減できる利点があります。
1枚で最大3回まで処方を受けられるリフィル処方箋。病状が安定している人に対し、薬をもらうだけの通院負担を軽減するために2022年から導入されています。診療回数が減るため、病院側も負担軽減に。一方、診療科によっては経営への影響が大きい可能性があり、導入には慎重な検討が大切です。
医薬品製造業者への査察基準を世界的に統一させるために設立されたPIC/S。GMPガイドラインの策定や保守を行なっており、加盟することで医薬品の製造効率や品質管理水準の向上が期待できます。日本は2014年7月より加盟。法的拘束力はないものの、加盟の際に改正された箇所やポイントを把握しておくのが得策です。
病院物流業務の効率アップに貢献する医療材料の在庫管理システム(物品管理システム)をピックアップ。それぞれの特徴の違いや注目できる機能などを一覧にまとめました。
医薬品の在庫管理が可能な病院物流管理システム(医薬品在庫管理システム)をリサーチ。導入実績が多く機能豊富なおすすめシステムの特徴を一覧にまとめました。
臨床検査薬の入出庫や業者への発注などに対応するおすすめの在庫管理システムについて調査。それぞれの機能の違いや特徴を一覧にまとめました。
スムーズな病院運営において重要なのは、材料や物品などの「モノ」の管理だけではありません。「人」や「お金」を上手くコントロールできているかどうかも、組織運営に大きな影響を与えます。
そのため、病院運営によくある悩みには、人やお金に関する課題も多いようです。
医療業界での離職率の高さは、業界全体の問題となっています。クリニック経営で人材を雇用する側にまわったとき、その問題の大きさを痛感する方も多いようです。
クリニックの人材のうち、もっとも離職率の高いのが看護師です。日本看護協会の調査によると、2021年度の正規雇用看護職員の離職率は11.6%。新卒採用者においても10.3%と高い傾向にあり、どちらも対前年比で増加しています。
増加の背景には新型コロナウイルス感染症の影響があったと考えられていて、第五類に移行した今後は改善される見込みはあるものの、影響が長引く可能性もゼロではありません。
※参照元:日本看護協会「2022年病院看護実態調査(PDF)」
(https://www.nurse.or.jp/home/assets/20230301_nl04.pdf)
医師や看護師の業務は、人の命と常に隣り合わせのため、高い集中力が求められます。その分、高い報酬を得て、かつ十分な休養を取れる環境を求めるのは当然とも言えるでしょう。
しかし、現実は一般の会社員とさほど変わらない報酬で激務をこなし、思うように休暇を取れない職場環境で働いている方が多くいます。特に、報酬面でメリットがないと感じると、すぐに離職してもっと条件の良い職場を探すケースも少なくありません。早期離職を防ぐためには、それなりに人件費をかける必要があるのです。
誰かが離職する度に、採用コストもかかります。仮に雇用できたとしたとしても、スタッフの教育に時間や手間がかかるでしょう。そうなると業務効率がいつまで経っても高まらず、クリニックの経営に影響を及ぼしかねません。
クリニックの運営を維持するのはもちろん、組織として成長させるためには、運営がうまくいっているかを客観的に評価することが重要です。
クリニックの院長は、医師として働きながら、経営者と管理者の役割も果たさなくてはならないのです。とは言え、通常の診察業務が多忙なゆえに、経営状況の把握に手が回らないという声も多く聞かれます。日々の業務をこなしつつ経営状況を把握し、最適化を図っていくためには、業務効率化や人材確保の面に目を向ける必要があります。
開業医や小規模のクリニックによく見られるのが、業務効率の悪さです。クリニックの開業医は、医師と経営者の2つの役割を持っています。
勤務医時代は勤め先の病院や医療施設の方針に従って診療を行うだけで良かったのが、開業医となるとそうはいきません。
ある程度組織が出来上がるまでは、自分で診療内容を決めて診療しながら、運営を維持していくために経営改善を図り続ける必要があります。
例えば、書類作成を含む患者情報の照会や応需も、実診療以外に時間を取られる業務のひとつです。業務効率の悪いところは全て洗い出して、できるところから最適化を図っていきましょう。
当然ですが、患者が病院に来てくれなければ収益を上げられません。「開業してから対策すれば良い」と考える方もいますが、運営が軌道に乗るまでに想定以上に時間がかかってしまう場合もあります。集患を後回しにしている病院ほど、経営が上手くいっていないケースが多いのです。
倒産という事態を招かないためにも、開業前にある程度の集患対策を講じておきましょう。
効率良く集患するためには、地域性やターゲットに合わせた広告媒体選びが大切です。ターゲットに対し、診療の特徴や自院の強みをどうアプローチできるかもポイントとなります。
医療機器や薬剤の調達・管理など、本来医師や看護師がやらなくても良い業務まで人の手で行っていると、本来の診療や経営業務にまで負担がかかってしまいます。物品の調達や管理に手間や時間がかかっている場合は、物流システムを導入して効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
物流システムを導入すると、人的リソースを割かなくても院内の物品調達や管理ができるようになり、スタッフそれぞれが自分のコア業務に集中できるようになります。
そのため、医師や看護師に限らず、院内のスタッフの誰かが業務を担当しているケースにも効果的です。発注漏れなどの人為的ミスの防止にもなり、業務効率の向上が期待できます。
経営戦略を見直して、収益を上げるための取り組みを図ることも重要です。例えば、今より収益を伸ばしたいのであれば患者の再診率を高めなくてはなりません。
再診につながらない理由や増患できない理由を分析して、継続的に改善を図りましょう。患者のレビューやアンケート調査から病院の不満点を探ると、改善ポイントが見えてきます。
患者の待ち時間の長さがネックとなっていると分かれば、予約システムや清算システムの導入によって解決を図れるでしょう。患者のストレスを軽減する取り組みが、診察の効率化に直結するかもしれません。このように、集患に対する意識を高めるだけでも戦略の見直しにつながります。
「スタッフが気持ちよく働ける」「リーダーを育成する体制ができている」など、組織マネジメントがうまくいっている病院ほど、安定した経営ができている傾向にあります。
病院には、医師をはじめ看護師や薬剤師、調理師、理学療法士など、あらゆる分野の人材が必要です。全てのスタッフが安心して気持ちよく働けるような環境を目指した組織づくりに注力しましょう。
一般企業と同じように、病院の運営も収益があって維持されています。健全な経営を行うためには、企業のように経営分析をしっかりと行い、経営状況を把握して、今後どのような施策を行うべきかを理解しておくことが重要です。
とは言え、経営状況を把握するだけに時間を費やしてしまっていてはいつまで経っても改善のフェーズには進めません。現場のさまざまな業務プロセスにデジタルの力を取り入れておけば、経営状況の把握や分析が効率的になります。
医療業界に限らず、労働力人口の減少によって、日本は将来的にも人的リソースの不足が叫ばれており、減少の一途を辿ることが予測されています。それに加えて働き方改革が進めば、1人ひとりの働く時間も制限されて、今まで以上に現場の人手不足は深刻化していくはずです。
人材不足の課題に備えるにはデジタル化も大切ですが、それに加えて「離職しない環境づくり」も重要です。
医師や看護師が離職しないような快適な環境づくりで採用コストや新しい人材の教育コストなどを削減できるため、経営状況を好転できます。
福利厚生を充実させる、職場で人間関係のトラブルが起こらないような仕組みをつくるなど、離職の原因の種をつくらない、早急に問題を取り除けるような体制づくりが求められます。
新型コロナウイルスの流行によって、多くの医療機関が赤字の危機を経験しました。この教訓を踏まえると、伝染病対策の強化が経営悪化の防止につながるとも考えられます。
この先、新たな感染症が流行しないとは限りません。もしかすると将来、新型コロナウイルスよりも感染力や毒性の強いウイルスが日本で流行する可能性もあるのです。
感染症対策が不十分なために病院の運営を足止めしてしまわないためにも、しっかりと感染症や伝染病の対策を講じることが大切です。感染症対策で求められる物品や医療材料は、在庫を切らさず常に十分な量を確保できるよう管理しておきましょう。
現代の病院経営において、患者やその家族のニーズへ応えられるよう、医療技術を提供するだけでなくホスピタリティを意識したサービスを提供する姿勢が重視されていますが、一方でどのようなニーズが存在しているのか考えた時に地域特性を無視することはできません。
病院のある地域における住民の年齢層やライフスタイル、周辺の医療機関の有無など、エリアごとに様々な事情や特性があり、それらに適した医療サービスを提供できる体制を整えることが肝心です。
医療機関は規模や標榜している診療科によって対応できる患者の特性や、提供できる医療サービスが異なります。そのため、地域の中で適切な医療サービスを必要な人々へスムーズに行き渡らせるためには、患者のニーズへ適した医療サービスが、その提供に相応しい医療機関によって担当されるといった地域内医療ネットワークを構築することが重要です。
地域にある診療所やクリニック、病院などがそれぞれ一次医療・二次医療・三次医療を担い、患者の病気や状況に合わせて連携しながら対応する体制を確立します。
スマートフォンやパソコンが普及したことで、誰でも気軽に医療機関や病気について情報を検索できるようになりましたが、一方で真偽不明な情報や医学的根拠のない情報なども拡散されるようになりました。医療機関は正しい情報を必要な人へ分かりやすく提供し、患者が適切な医療サービスや情報を受け取れるよう積極的に情報発信していくことが大切です。
また医療機関として能動的に情報提供へ取り組むことで、患者や家族とのコミュニケーションを深めて信頼関係の構築にもつなげられます。
医学部を卒業して医師免許を取得すれば、理論的には医師はどんな診療科でも標榜することが可能です。しかし現実問題として医療技術は日進月歩で向上しており、先端技術の開発や最新の研究など専門分野に特化していなければ、技術的にも知識的にも十分な医療サービスを提供することが困難になっています。
そのため各医学会で認定医・専門医の認定制度を設けるなど、特定の診療科や分野におけるスペシャリストの育成と活用が進められており、医療機関としても専門性を重視した医療体制を構築していくことが必要です。
MBAとは「Master of Business Administration」の略称であり、日本語に訳せば「経営学修士」となります。MBAは経営学を専攻して大学院修士課程を修了した人へ授与される学位であり、医師国家試験に合格して取得できるような資格ではありません。
しかしMBAは経営学について専門的に学んだ証であり、経営者や経営コンサルタントにとって信頼性を客観的に示す指標の1つとして考えられています。
医療機関は社会が高く公共性を求められる組織であると同時に、健全な経営が維持されることで初めて安定的な医療サービスを提供することが可能となります。そのため病院経営者もMBAを取得し、ビジネスパーソンや経営者としての医経分離の観点から組織運営のあり方を考えていくことも肝要です。
損益計算書(PL)とは経営分析を考える上で重要になる財務諸表の1種であり、どの事業やプロジェクトがどの程度の収益を上げているのか、またはどの程度の費用や損失が発生しているのか、一定期間のデータをまとめた資料となります。
損益計算書は主として「収益・費用・利益」の3要素によって構成されており、発生した売上から経費を差し引き、手元に得られた利益を確かめることで黒字・赤字を分類し、事業戦略の構築や事業改革などへつなげることが可能です。
医療機関などの病院経営においては、どの診療科やどんな医療サービスによって収益性が高められ、反対にどの部門や部署で費用が過剰に発生しているのかといった、キャッシュフローをチェックするために損益計算書を作成することが重要です。
また、特に保険適用の治療を提供している医療機関の場合、損益計算書を分析することで地域の医療ニーズや患者にとって必要な医療サービスの把握にもつながります。
貸借対照表(BS)とは、その企業や組織の財政状態について「借方・貸方」を比較することで確かめる資料です。
具体的には、その企業や組織が保有している様々な資産と、資金を調達する手段や方法を勘定科目によって分類した資料であり、貸借対照表を確認することによってどんな方法でお金を集めて、それをどんな形で資産化して保有しているのか現状を把握することができます。
病院には現金だけでなく医療機器などの資産や、借入金などの負債(マイナス資産)があり、貸借対照表を作成して現時点での財政状況や資産状況を分析します。
病院経営管理士は、一般社団法人日本医師会が認定している一般資格であり、病院経営に関与する全ての職種を対象としている制度です。病院経営管理士の取得には経営・管理に関する科目や経営管理演習などのカリキュラムを修了しなければなりません。
医療経営コンサルタントとは文字通り、医療機関や病院の経営についてコンサルティングサービスを提供するプロフェッショナルであり、公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会が認定している資格です。
医療経営コンサルタントを取得することで、自分が運営する病院の経営状態を客観的に分析して改善点や事業課題に向き合えるだけでなく、関連する医療機関や提携する病院などに対しても経営面でのアドバイスを行えるようになります。
防火管理者は、多くの人々が利用する施設や建物(防火対象物)において、火災被害の予防や安全対策の実施といった防火管理業務を担う責任者です。防火管理者は所定の講習を受講することで得られる国家資格であると同時に、従業員を管理・監督・統括できる地位にある者が就くという条件が定められており、一定以上の規模の病院を経営する場合は必ず防火管理者を専任しなければなりません。そのため病院経営者が自ら防火管理者の資格を得ることは健全な経営やコスト削減に役立ちます。
なお必要な建物において防火管理者を専任しない場合、懲役刑や罰金刑に処される可能性もあるため注意してください。
医療経営士は、医療機関や病院の抱える事業課題や経営課題の改善点を分析して、実践的で実効性のある経営マネジメントを考えていく病院経営のスペシャリストです。一般社団法人日本医療経営実践協会が認定しており、1級~3級まで資格が分類されています。
医経分離とは、文字通り「医療」と「経営」をそれぞれ別のジャンルとして明確化し、病院経営においても「医療部門」と「経営部門」で役割分担しながら事業を安定的に進めていこうとする概念であり経営メソッドです。
医経分離が重視される理由として、患者のための医療サービスを拡充して追求することと、組織としての営利性を高めて利益を追求することで、しばしば相反する状況が生じやすくなるという点が挙げられます。
しかし現実問題、患者のためにコストを度外視して医療サービスを拡充されれば経営が不安定化し、病院経営が不安定になれば健全な医療サービスを維持することが困難になることも事実です。
つまり医経分離において肝心なポイントは、医療部門と経営部門が理念を共有して互いに協力し合う体制であり、本当にそれぞれが分断されてしまえば病院経営は成り立ちません。そのため医療部門と経営部門が連携しやすい中小規模の病院であればともかく、経営層と現場の医療従事者との間で一体感が生まれにくい大規模の病院などで医経分離を実践していくには、まず病院内で理念や思想を周知徹底した上で、両者の橋渡しとなる人材の確保や体制の構築といった準備が不可欠です。